〜赤い惑星に刻まれた“もう一つの人類史”〜
序章:火星、第二の地球と呼ばれた惑星
地球から約2億2500万km離れた場所に、赤く輝く小さな惑星がある。
古代バビロニアでは「ネルガル(戦の神)」、日本では「火の星」と呼ばれたその天体――火星。
その表面を覆う赤錆びた砂の下には、かつて「文明」が存在したのではないかという仮説が、20世紀後半から現在まで根強く語られてきた。
きっかけは、1976年7月。NASAの探査機 バイキング1号 が送ってきた一枚の写真だった。
第1章:「火星の顔」がもたらした衝撃
写真は、火星の北半球「シドニア地域」で撮影された。
そこには、地形とは思えぬほど精緻な「人間の顔」を思わせる巨大構造が写っていた。高さ約800m、幅1.5km。
目・鼻・口の位置関係は人間の比率に近く、まるで人工的なモニュメントのようだった。
この“火星の顔”が一般に公開されると、世界中のメディアが飛びついた。
「火星文明の遺跡発見か?」「宇宙人のメッセージか?」――。
一夜にして火星は、未知文明のロマンと陰謀の舞台となった。
第2章:NASAの沈黙と陰謀論の拡散
NASAは当初、「光の加減による錯覚」と発表した。
しかし、なぜかその後、同地域の高解像度写真を長期間公開しなかった。
この沈黙が“隠蔽”の疑念を生み、火星文明説は急速に拡大していく。
1980年代には、物理学者 リチャード・C・ホーグランド が著書『モニュメント・オブ・マーズ』で次のように主張した。
「シドニアには、幾何学的に配置されたピラミッド群と都市の跡がある」
ホーグランドは、顔のモニュメントと周囲のピラミッドが「黄金比」や「正三角形」に近い配置をしていると指摘。
これは自然の偶然ではなく、高度な文明の設計意図だと論じた。
第3章:バイキング探査機が見た“もう一つの都市”
NASAの公式データベースを解析した研究者たちは、シドニア以外にも不自然な地形を複数発見した。
その中でも注目されたのが、「D&Mピラミッド」と呼ばれる五角形の構造物である。
このピラミッドは長さ約2km、角度はほぼ正確に72°ごとに配置され、内部に対称性を持つ“中心軸”を備えている。
フラクタル幾何学的にも異常な規則性を示し、自然の浸食では説明が難しい。
こうした構造物群を解析したNASAの元画像技術者マーク・カーロッタ博士は、次のように述べている。
「これが人工物でないと断言するには、むしろ強い信仰が必要だ」
第4章:文明崩壊の仮説 ― 火星に何が起きたのか
では、仮に火星に文明が存在したとすれば、なぜ滅びたのか?
科学者やオカルト研究者は、いくつかの仮説を立てている。
1. 惑星規模の核戦争説
物理学者 ジョン・ブランデンバーグ博士 は、火星大気中に高濃度のキセノン129(核爆発の副生成物)を検出したことを根拠に、
「火星では過去に核兵器が使用された可能性がある」
と主張した。
さらにNASAのローバーが撮影した一部の岩石には、放射能汚染の痕跡があるとも言われる。
2. 小惑星衝突・大気消失説
一方、天文学者たちは火星の磁場消失を指摘。
古代に大規模な隕石衝突があり、惑星の核ダイナモが停止したことで磁場が失われ、大気が宇宙へ流出したという説である。
この結果、地表の水が蒸発し、文明が壊滅したとされる。
第5章:火星と古代地球の“接点”
興味深いのは、火星文明説が古代地球の神話と一致する点である。
古代エジプトの壁画やマヤ神話には、「赤い星から降りた神々」や「空から来た教師」が登場する。
また、シュメール文明の粘土板に記されたアヌンナキ神話では、
「神々は天空の国から降り、人類に知識を授けた」
とある。
この“天空の国”が火星だったとする仮説も根強い。
さらに、地球のピラミッド群(ギザ、テオティワカン、ナスカ)は、火星のシドニア構造物と類似した幾何配置を持つ。
つまり、火星と地球には何らかの文化的リンクが存在した可能性があるのだ。
第6章:最新探査が示す「意図的な痕跡」
21世紀、NASAの「マーズ・リコナイサンス・オービター(MRO)」やESAの「マーズ・エクスプレス」が火星の詳細地図を作成した。
公式には「自然の地形」とされているが、一部の科学者は依然として“説明不能な形状”を指摘している。
たとえば2015年、火星表面の「メドゥサ・フォッサ地帯」で、直線距離20kmにわたる格子状構造が発見された。
これは地質的作用では説明が難しく、地下構造物や都市遺跡の可能性を示唆するものとして注目された。
また、クレーター内に対称的な六角形の構造があり、「古代の発電施設」「採掘跡地」とする仮説も浮上している。
第7章:CIAと「火星透視計画」
さらに驚くべき事実がある。
米CIAは1970年代から超能力研究「スターゲイト計画」を実施し、**リモート・ビューイング(遠隔透視)**によって火星の過去を観測しようとしていた。
1995年に公開されたCIA文書「Mars Exploration, 1984」では、透視者が次のように証言している。
「私は巨大なピラミッドを見た。中には非常に背の高い存在が眠っており、彼らは“時を超えて移動した”と言っていた」
この報告書は実在し、CIAの公式アーカイブから確認できる。
つまり、政府レベルで“火星文明の可能性”が調査されていたのである。
第8章:人類と火星、再会の日
現在、NASAとSpaceXは有人火星探査を計画しており、2030年代には人類が初めて火星に立つ予定だ。
イーロン・マスクはこう語る。
「我々は単なる観測者ではない。かつての記憶を取り戻しに行く者だ」
もし火星に文明の痕跡が存在したとすれば、
それは“他の知的生命体の遺産”ではなく――人類自身の遠い祖先の記録なのかもしれない。
終章:赤い星が語るもう一つの人類史
火星文明説は、科学的には証明されていない。
だが、地質データや放射線痕、幾何学的配置の一致など、完全には説明できない現象も確かに存在する。
科学が進歩するほどに、神話は再び現実へと近づく。
火星の砂に埋もれたピラミッドは、私たちに問いかけている。
「あなたたちは本当に、地球で始まった存在なのか?」

