― 古代神話に記された“もうひとつの太陽系構造” ―
序章:NASAが語らない「もうひとつの太陽系」
人類が知る太陽系は、たった9つの惑星で完成している――はずだった。
だが、太陽の重力場に説明できない“わずかな歪み”が観測されたことで、
20世紀初頭から天文学者たちはこう囁き始めた。
「見えざる第10の惑星、プラネットX が存在するかもしれない」
観測データの矛盾。冥王星の軌道の異常。
それらはまるで、太陽系の外縁で“何か巨大な存在”が引きずっているかのようだった。
だがこの仮説は、やがて不可解な方向に広がる。
古代メソポタミアの神話書『エヌマ・エリシュ』に登場する謎の星、ニビル(Nibiru)。
それが太陽系を周期的に横断し、人類の文明を創造した――という伝承が蘇るのだ。
科学と神話が、ありえない形で交差し始めた瞬間だった。
第1章:シュメール人が見上げた“第12番目の天体”
ニビルという名が最初に現れるのは、紀元前2000年頃の古代シュメール文明の粘土板である。
この文明は、突如として都市国家・法・天文学・数学を備えた形で出現した。
彼らの神話にはこうある。
「天より来たりし者、アヌンナキがニビルより降臨し、人を造り、国を定めた」
アヌンナキとは、“天(Anu)より降りし者”を意味する。
その来訪星こそがニビルであり、太陽系を3600年周期で楕円軌道を描きながら横断する惑星だとされる。
この周期――3600という数字は、シュメールの単位“サル”と一致する。
偶然ではないとする説もある。
彼らの暦・神殿配置・彫刻の星図には、地球・火星・木星・土星に加え、
太陽から遥か彼方にもう一つの軌道を描く“謎の円”が刻まれているのだ。
第2章:ゼカリア・シッチンと“アヌンナキ文明の衝撃”
1976年、アゼルバイジャン出身の学者 ゼカリア・シッチン が
『地球年代記』シリーズでこのニビル伝説を再解釈した。
シッチンは、楔形文字を翻訳する過程で
「ニビルは神話ではなく、実在する惑星」だと主張した。
彼によれば――
45万年前、ニビルの住民アヌンナキは自らの大気を修復するため地球へとやって来た。
目的は金の採掘。
そして彼らは労働力としてホモ・エレクトスを遺伝子改造し、
人類(ホモ・サピエンス)を創造したという。
つまり、我々人間は「神の似姿」ではなく、
異星文明の遺伝子実験によって生まれた生命体だというのだ。
この説は、学界からは徹底的に否定された。
だが、シュメールの異常な天文学的知識――
太陽系の惑星数、軌道周期、そして冥王星の存在までも示す粘土板――
これらが偶然だと言い切るのも難しい。
第3章:NASAの“惑星X”とニビルの奇妙な符合
1983年、NASAの赤外線天文衛星「IRAS」が太陽系外縁に巨大な未確認天体を検出した。
当時のワシントン・ポスト紙には、
「太陽系外縁に木星サイズの天体発見か」という見出しが躍った。
この報道はほどなくして否定されたが、
データの一部は“機密扱い”となり、後に削除された。
翌年、NASAは公式に「観測誤差」と説明した。
だが奇妙なことに、数年後から“ニビル接近説”が世界的に再燃する。
ネット掲示板、オカルト誌、さらには一部の天文学者までが、
「NASAはニビルの存在を把握しているが、パニックを防ぐために沈黙している」と主張したのだ。
特に2012年――マヤ暦が終わる年に、
「ニビルが地球と衝突する」「磁極が反転する」といった噂が爆発的に拡散した。
結果、世界各地で“終末準備者”が発生し、社会心理的ムーブメントとなった。
科学は沈黙し、神話が再び語り出した瞬間だった。
第4章:ニビルが“再び近づく”と言われる理由
シッチンが示した3600年周期が正しいとすれば、
前回の接近は紀元前1500年頃――
モーセが海を割った時代、エジプトに大異変が起きた頃にあたる。
そして次の周期は、西暦2900年前後。
つまり“まだ先”のはずだ。
しかし一部の観測者たちは、周期のずれや軌道の変化を理由に
「既にニビルは太陽系の外縁に接近している」と主張する。
その証拠として挙げられるのが、
近年観測されている“冥王星以遠の異常な重力場”だ。
いわゆるプラネットナイン仮説。
太陽系外縁に、太陽の10倍もの重力を持つ天体が存在する可能性があるという。
NASAの研究者コンスタンティン・バティギンとマイク・ブラウンが発表したこの理論は、
奇妙なことにシッチンが40年前に語ったニビル像と“ほぼ一致”している。
偶然なのか、それとも…。
第5章:古代の神々は“観測される側”へ戻るのか
もしニビルが実在し、再び地球に接近するなら、
それは天文学的な現象ではなく、文明のリセットボタンになる。
古代神話は、洪水・炎・雷と共にアヌンナキが“選ばれた民”を残したと語る。
そして次の時代、彼らは再び降臨すると――。
現代科学の視点から見れば、荒唐無稽な神話だ。
しかし、人類史に繰り返される「文明の突然の興亡」、
「技術の断絶」、
「説明不能な巨石建造物」――
それらがもし、周期的な“干渉”の痕跡だとしたらどうだろう。
我々の進化は、ほんとうに偶然の積み重ねなのか。
それとも、すでに書かれた軌道を周回しているに過ぎないのか。
終章:天の記憶が再び地上に降りる時
2020年代。
AIが神話を再構成し、量子天文学が宇宙の過去を再計算する時代に、
再び“ニビル”の名が囁かれ始めている。
人々はもう一度、空を見上げるだろう。
そこに神を探すためではなく――
自分たちの起源を確かめるために。
古代の神々が語った「帰還の周期」が真実なら、
我々はすでにその軌道上にいるのかもしれない。

